連載コラム11 – 基幹業務システムでコラボレーションをしてみましょう « ミッドランド税理士法人(豊田)
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連載コラム11 – 基幹業務システムでコラボレーションをしてみましょう

 

 

 前回は紙のタイムカードとデジタルタイムカードの機能的な比較から、それが事業の効率・品質・価値にどう作用するかを見ていきました。それらは、単に媒体として、紙か、電子か、ということだけでなく、社員や顧客に対しても大きな影響を与えるものでした。
今回は、組織全体のコラボレーションという目線で、基幹業務のデジタル化を実現するためのツールについて見ていきましょう。

 

第11回:基幹業務システムでコラボレーションをしてみましょう

1)事業活動の基本的な領域(定型的なもの、非定型的なもの)

基幹業務とは、そもそも事業活動の中枢を担う販売管理・財務会計・人事労務といった業務のことです。分類方法は色々あると思いますが、ここでは主に事業活動の領域ごとに区分して考えていきます。領域で分ける場合は、販売領域(顧客管理・案件管理など)、生産領域(原価管理・在庫管理など)、開発領域(購買管理・商品開発など)、管理領域(財務会計・人事労務など)に区分できます。それらの領域の管理のために利用されるシステムのことを、基幹業務システムと呼びます。

 

 

2)代表的なツール

基幹業務システムには、第9回で取り上げたクラウドPOSレジなど特定の業種に特化したものや、弥生販売・TKC会計ソフトなどの販売管理や財務会計のような特定の業務に特化したもの、ERPと呼ばれる統合的なパッケージ(主に大企業が利用している)などがあります。また、kintone や Salesforce のような汎用性が高く、多少の向き不向きはありますがどんな業種や業務にでもフィットさせることができるグループウェア、G suite や office 365 といったクラウド型のオフィスツールも基幹業務システムに含めて考えることができます。現に、office 365 にも含まれる Microsoft Excel を利用して顧客台帳を管理している会社はあると思います。

 

 

3)基幹業務システムの導入をするに当たり気をつけること

当たり前の話なのですが、これらのツールが魔法の様に効率・品質・価値を向上させ、社員や顧客を満足させ、利用する企業の利益を生み出すかと言われると、そうではありません。あくまで事業活動の結果としての財務数値(売上や利益など)や、事業活動の中間成果としての非財務数値(客数、商談件数、歩留まりなど)を一元的・標準的・単純に、見える化するためのツールです。導入にあたっては、先行して、事業計画を策定し、戦略への落とし込みを行う必要があります。

 

例えば、利益を100万円増やすために、ウェブ会議システムの利用で移動時間を削減し、新規商談件数を月に30件増やす、というようなことを決め、ウェブ商談で受注できるように提案書を作り変え、受注の増加と旅費交通費の削減により増えた利益の一部を賞与として還元する、というような活動は、基幹業務システムがやる訳ではなく、経営者や現場責任者が主体的に動くことになります。この中で基幹業務システムは、ウェブ会議の利用件数、商談件数、受注率、受注単価、利益額などを可視化させる役割です。これらは、ルール・ツール・カルチャーという言葉で整理できますが、基幹業務システムは「ツール」であり、ルール(会社の方針や目標)やカルチャー(ヒトを動かす仕組み)ではありません。

 

また、仮に導入や定着を外部の支援を受けて実施する場合も、ルールやカルチャーについては、会計事務所や社会保険労務士事務所と一緒になって考え、経営者や現場が考えた計画や戦略について、専門的なレビューを受けていくことが望ましいと思います。先程の例でいえば、商談件数を30件増やして利益は本当に100万円増えるのか、賞与の規定がないパートなどの動機づけについてはどうするのか、などです。

 

 

今の時代、ツールの多くはクラウドで提供され、大規模・中規模の事業者が使っているのと同じ機能が、小規模な事業者でも同じ価格帯で利用できるようになっています。使い勝手も大幅に向上し、プログラミングができない方でも利用できるものが増えています。これは、ここ10年での大きな変化だと思います。しかし、同時に検討されるべきルールやカルチャーは、大規模・中規模の事業者が使っているのと同じものをそのまま小規模事業者が使う訳にはいかないため、どうしてもアレンジが必要になります。実際に、関係省庁が取りまとめているレポート類の中でも、このルールやカルチャーがボトルネック化してコラボレーションが進まない、という構図について警告しています。実際に皆様がコラボレーションを進めていかれる中でも、ここが一番辛いところだと思います。

 

しかし、ツールが進化する前から、このルールやカルチャーの構築は経営の重要な課題でしたし、事業を成長させていくには避けては通れない道だと思います。今は、コロナ禍における経済的な危機も相まって、事業について再考すべき重要な時期だと思いますので、ぜひコラボレーションについてもお考えください。使える経営資源が同じであっても、その活用によって成果は大きくなります。是非、コラボレーションの力をご活用ください。

 

※ コラボレーションのための各種検討をされる場合は、ぜひ当事務所にご相談ください。

(今回でコラボレーションについては最終回です。次回からは、各業務領域のデジタル化について考えて行きます。初回は顧客管理です)

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