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連載コラム18 – リモートワーク実装の解決策(ルール 編)

with コロナ・after コロナの企業経営とテクノロジー(18)

 

前回のチャプターでは、リモートワークを実装しようとする際に障壁になるものについて考えてみました。端的に言うと、働き方や暮らし方が変わったことによる変化への適応が課題のようです。そうであれば、それらに適応するための具体的な方法を取り入れることによって、障壁を超え、その便益を享受することができるのではないでしょうか。

リモートワークの実装のような、従来なかった機能やプロセスを企業や組織に持ち込む場合の考え方として使いやすい目線があります。「ルール」「ツール」「カルチャー」として整理するというもので、4月の緊急事態宣言の発令時に、伝統的な大手企業があっという間にリモートワークを実装した際にも注目されたものです。
今回はそのフレームワークに沿って、まずは「ルール」から考えていきたいと思います。

第18回:リモートワーク実装の解決策(ルール 編)

まず、言葉の定義ですが、この場合のルールとは方針や規則のことで、対象となるものは品質や効率などです。例えば、リモートワークの場合でも、労働法による労務管理義務は生じますし、リモートワークだからといってお客様に提供する商品やサービスの価値を下げて良い訳ではありません。では、どのような方針や規則を設けていくことが必要とされるのでしょうか。

 

事業活動を営む企業や組織は、業種業態によるばらつきはあるものの、原則的に何らかの経営資源を投下し、商品やサービスを販売しています。経営資源とは、ヒト、モノ、カネ、データの4つに分けることができます。よって、これらの経営資源の単位に沿ってポリシーを考えていくことができます。なお、これらは全てが独立して存在する訳ではなく、相互に影響し合う関係です。

 

1)全体を包摂・統合するポリシー

「何がリモートワーク実装のハードルなのか?(http://midland.jp.net/event-cp/dx20200902/)」の回でも考えましたが、リモートワーク実装の大きな壁に「組織の管理」があります。リモートワークにより生じる物理的な距離により、(良い意味での)マイクロマネジメントが機能しにくくなります。そのため、企業や組織の活動における使命を言語と行動で指し示す必要があります。

言語での表現には、バリューやワークポリシー等を言語化することが含まれ、行動での表現は、その言語化されたポリシーに従って行動することです。注意することは、何よりも経営者自身が行動をすることです。例えば、挨拶や整理整頓など基礎的なポリシーがあっても、実際には経営者自身がそれを実践できていない場合、お客様や社員、仕入先は信頼感を喪失してしまいます。

 

2)ヒトに関するポリシー

企業や組織に関わるヒトには、主にお客様、社員、仕入先があります。その他に地域やステークホルダー等を入れることもあると思います。

 

・対 お客様(商品やサービスレベル)

「なぜ今リモートワークが必要なのか?(http://midland.jp.net/event-cp/dx20200820/)」の回で考えてきましたが、リモートワークは感染症対策や新しい働き方や暮らし方に適応するための戦術であり、それによってお客様や社会に対する企業や組織の価値を維持発展させることが可能になります。つまり、そもそも企業や組織がそのお客様に約束する商品やサービスのレベルは、向上こそすれ、劣化することがあってはいけません。リモートワークを実施する企業や組織は、その考えや実施のための具体的な方法論を考えお客様に伝えます。お客様がそれに不安等を感じた場合のバックアップ体制を敷いたり、企業や組織の行動をモニタリングする必要があります。これらは重要なコミュニケーションであり、軽視すると信頼関係に大きな亀裂を生じかねません。

 

・対 社員(労務管理、人事評価)

社員は、お客様や仕入先といった社外の「ヒト」と比べ、企業や組織のポリシーの影響をより強く受けます。そのため、全体を包摂・統合するポリシーに加え、行動基準書や人事評価制度のような社員だけを対象としたポリシーを設け、行動に対する期待と、それを評価するための仕組みを実装することが望ましいです。必ずしも賃金制度と連携する必要はありませんが、自社の社員としてどう行動してほしいか、を理解させるためのものはあった方が良いと思います。

また、リモートワーク環境での労務管理はどうするのか、同居家族とのバランス(子供も在宅になった場合の子育てなど)をどうするのか、などの条件については、実際の状況に合わせて検討をする必要があります。

 

・対 仕入先(購買基準)

サプライチェーンとも言われるように、仕入先というのは、お客様に商品やサービスを提供するためのパートナーです。リモートワークの実装により、仕入先が提供した商品やサービスの検収に係る期間が長くなったり、打ち合わせをウェブ会議に変更いただくなど、変化への協力を要請することになります。それらには、自社と仕入先の両者の合意によって決めるものであり、個別の担当者が自身の判断で決めるものではないようなものも含まれます。

働き方の変化が取引にどう影響するのか、両者の取引におけるポリシーとしてしっかりとご検討いただくと良いと思います。多くの場合、その取引を始めた時点では想定していなかった変化に見舞われており、契約書の中でも「協議して決める」とされているのではないでしょうか。

 

3)モノに関するポリシー

お客様に提示する商品やサービスレベルのポリシーの中で、商品やサービスの最終的な品質についての約束がされ、それに準じてこの「モノに関するポリシー」が策定されることが多いと思います。

働き方や暮らし方が変わったことにより、従来の生産基準が通用しなくなることがあります。例えば、従来は社内の製造担当者と品質管理担当者が対面で行っていた検品作業が、非対面になるなどに起因して、属人的な手法により担保されていた品質が維持できなくなることもあります。これに対処するため、標準的なポリシーを設け、そのための仕組みやトレーニング等を用意することもあります。

 

4)カネに関するポリシー

ヒトに関するポリシーの中で、必ずしも賃金規定と連携した人事評価の改定をする必要は無いと書きましたが、手当や経費の利用については変更が必要になることも少なくありません。例えば、完全にリモートワークをしている社員に対して、継続的に非課税の通勤手当を支給することは実態に沿った手当の支給ではないと判断される可能性がありますし、社員にとっては、自宅の電気代や水道代の一部を会社に請求したいと考えることは自然です。従来の働き方が前提で行われていた支出は、新しい働き方に合わせて見直す必要があります。

 

5)データに関するポリシー

企業や組織は、顧客や社員の情報や、営業上の秘密など、様々なデータを取り扱っています。前回のチャプターの中で、”セキュリティ戦略は「境界線を守る(侵入を防ぐ)」という目線”から変わってきた、ということを書きました。セキュリティ戦略は「攻撃されることを前提にする」目線へと変わり、『ゼロトラスト』という概念が登場しました。「境界線を守っていた」時代には、ファイアウォールやゲートウェイ、ウイルス対策ソフトなどのツール導入で対処していた問題が、それだけでは不十分になった、ということです。有事対応の仕組みやマニュアル化、社員の研修など制度や文化面での対応が必要になりました。

 

 

 

以上、かなり端的に書いたつもりですが、それでもボリューム感があります。また、これらは常に移り変わるものであり、見直しが必要です。1度作れば良し、というものではありません。本来は数年先の企業や組織の形のイメージからの逆算で策定していくことが望ましいのですが、現在においてそこまでの手間を掛けている暇もなかなかないかと思います。まずはここに書き出した観点でざっくりと、社内のメンバーで話し合いながら諸々のポリシーやルールを考えていってはいかがでしょうか。そのような話し合いの機会も、こういう激動の時代には必要なコミュニケーションだと思います。

 

※ 話し合いのサポート等が必要な場合はお声がけ下さい。当社でもサポートが可能です。

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