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連載コラム17 – 何がリモートワーク実装のハードルなのか?

with コロナ・after コロナの企業経営とテクノロジー(17)

 

前回はリモートワークの実装が、感染症対策だけでなく、事業経営においても重要な意義をもっていることを確認しました。しかし、すべての企業で実装できている訳ではないようです。具体的な数値を見てみましょう。

第17回:何がリモートワーク実装のハードルなのか?

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が確認される前、いわゆる before コロナの時代においては、リモートワークの実装率は名古屋圏(愛知、岐阜、三重)では8.7%(3月)であり、緊急事態宣言の発令された時点で17.8%(4月)でした。

 

当然ながら「情報通信業」や「学術研究、専門・技術サービス業」などの情報を取り扱う業種での実施率が高く、「医療、介護、福祉」や「運輸業、郵便業」などの、いわゆる”現場”がある業種での実施率は低い傾向にあります。職種別でも、品質管理や営業職が低いなど、一括しては語れない事情があるようです。また、4月時点での全国平均は25.7%と名古屋圏よりも高く、地域での差もあるようですし、大規模企業と小規模企業では大規模企業の方が実施が進んでいるようです。(参考:https://rc.persol-group.co.jp/news/202006110001.html

 

これらの差の背景には、どのような要因が潜んでいるのでしょうか。

 

この点について、様々な論点で語られていますが、主に場所や距離に起因するように思います。具体的な例を挙げながら見ていきましょう。

 

1)紙の文書

ビジネスにおいて、紙は主に記録や保存を目的として利用される物質です。そこに記録するには、その記録の場に紙がある必要があり、閲覧するためにも、閲覧の場にその紙がなければなりません。特定の事業所に集まって働く場合は、その事業所の中に紙があれば、情報をある程度共有することができました。つまり、紙という物質は、その利用者と同一の場に存在している場合に限り有効でした。一方で、リモートワークなどのように、場所や距離が離れた働き方を実施する場合には、その同一の場に存在するという前提条件が崩れるため、利便性が大きく損なわれます。

今般、ハンコという文化の見直しが社会的に要請されていますが、それも紙を前提としたものです。見直しをすべきものはハンコというより、その前提となっている紙やその利用方法ではないでしょうか。従前の環境保全の観点だけでなく、今後は人の働き方・暮らし方という観点でも、ペーパーレスはより注目されていくと思います。

 

2)組織の管理

現在日本で行われている管理の大部分は、労働時間や業務内容などに細かく踏み込むもので、マイクロマネジメントと呼ばれます。マイクロマネジメントでは、チームのメンバーが、いつ、なにをするのか(したのか)、それをどのように実行するのか(したのか)、などが管理の中心です。、事実上のコントロールに近く、モチベーションを阻害するなどの弊害もあります。一挙手一投足を管理対称としますので、当然、管理者はマネージャーまたはボスとしての役割を負います。細かな活動を把握するために、ある程度近い距離で働く必要がありますが、これもリモートワークによって場所や距離が離れた結果、うまく機能しなくなってきています。

 

3)セキュリティ

多くの企業や組織には「顧客」があり、その顧客情報が価値を生み出す源泉になることは、以前のチャプターで触れてきました(http://midland.jp.net/event-cp/dx20200716/)。一方でその情報は、その安全性を守らなければならないことも事実です。ビジネスを行う上では、その他の社員の情報、商品やサービスに関する情報なども顧客の情報と同等に重要な情報です。

 

従来の情報は事業所の中に集約されていました。そしてその情報のユーザーである社員も事業所の中に集約されていたので、セキュリティ戦略は「境界線を守る(侵入を防ぐ)」という目線でした。

 

しかし、リモートワークが実装されると、社員は事業所の中にいる訳ではなくなります。自宅のインターネット回線にもデバイスを接続します。顧客の情報を処理する場所も、事業所や顧客先だけでなく、自宅のリビングやカフェなどに広がりました。利用するソフトウェアは、パソコン等にインストールするものからクラウド型のものに変わり、常に世界中とつながった状態で働いています。境界線の概念が消失した状態で境界線を守っていても、十分な安心感はありません。

 

 

このことは、働き方や暮らし方が変わったことによる変化に適応できず、リモートワークの実装を阻害してしまっている状況のほんの一例です。実際には、これ以外にも思想や文化の変革など、考慮すべきことは多岐に渡ります。では、それらの経緯を個別に分析し、ひとつずつ対策を考えていけば良いのでしょうか? おそらく、そうではないと思われます。

 

今回の働き方や暮らし方の変革は、従来の価値観から連続性をもって変化したものではなく、非連続なものだと思います。少なくとも、現時点ではその因果関係が綺麗に説明できるような理論はなく、また、その理論が出来上がるまで待っていては、時代の潮流に置いていかれることになるでしょう。つまり、「今まではこうだった」という前提に立つ必要はなく、段飛ばしに目下の事態に挑めば良いのではないでしょうか。そういう意味では、歴史のある企業や組織も、スタートアップのベンチャーも、皆が等しくスタートラインに並び直した出来事であり、ある意味では、波乱の時代の幕開けと言えるのかもしれません。

 

今回は導入として、時代の非連続性の中での変化について考察しましたが、次回以降では具体的な事象に対する解決先について、事例を踏まえて検討できればと思います。

 

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