連載コラム03 – ウェブ会議の安全性は、ビジネスに耐えうるものなのか? « ミッドランド税理士法人(豊田)

連載コラム03 – ウェブ会議の安全性は、ビジネスに耐えうるものなのか?

 前回のコラムでは、なぜ今ウェブ会議が注目されているのか、そのコストや効率、実効性などから考察してみました。

前回のコラムはこちらからどうぞ

それらの効果効能の素晴らしさは、一定の合理性があり、たしかにビジネスの重要なツールになってきているようです。一方で、新しい技術の潮流には、ある種の不安がつきものです。現に、その脆弱性をついた事件や事故なども起きているようです。

今回は、そんなウェブ会議の安全性について考えていきたいと思います。

 

第3回:ウェブ会議の安全性は、ビジネスに耐えうるものなのか?

ウェブ会議サービスとして有名なものの一つにZoom(ズーム)があります。Zoom 飲み会、という言葉もよく聞くようになりました。このZoom に関する安全性で話題になったのが、「Zoom Bombing」(Zoom爆撃)と呼ばれる問題です。Zoomの使いやすさの理由の1つに、会議室のIDやURLさえ分かっていれば、会議に参加するゲストは事前にアカウントを作成・登録することなく簡単に利用できる点があります。しかしこれは裏を返すと、本来は会議に招待されていない第三者であっても、会議室のIDやURLさえ分かれば無断で会議に参加できてしまうことを意味しています。また、ZoomのiOS版アプリが、利用者の承諾を得ずにデータをFacebookに送信していることが発覚したり、通信データの暗号化に関する問題も指摘されています。そのため、「Zoom を使わないでください」という指示をしている企業も、大企業の中には現れています。

では、ウェブ会議サービスの安全性は、ビジネス利用には耐えられないのでしょうか。そうではないと思います。「ウェブ会議は危険」と、短絡的に考えることは必ずしも正しいとは言えないと思います。例えば、「Zoom Bombing」の問題については、会議のIDやURLは参加者のみに開催直前に通知する、会議室には必ずパスワードを設定する、会議の主催者が承認したゲストのみが参加できるようにする、などの運用で、そのリスクの大部分を回避することができます。
単純な回避策に見えますが、実は現実の世界でも同じように運用されています。現実世界の会社の会議室には、その会社の社員や招待されて受付で認証をされた人しか入れません。取締役会などの重要な相談を行う場合は、一般のエリアから遮断され施錠等が可能な場所で話をすることが望ましいでしょう。つまり、ウェブ会議に限らず、そもそも重要な情報を取り扱う場合には、最新の注意を払う、という点で何ら変わらないのです。企業や個人の情報安全性を論じるには、これらの基礎的な運用部分が非常に重要です。交通事故を絶対に起こさない自動車を作ることが不可能であるように、そもそも完全に安全なサービスや環境などあり得ない、という観点から考えることが重要だとも言われています。また、確かにウェブ会議サービスにある一定の危険性があったとしても、それはウェブ会議サービスが社会にもたらす便益以上のものではないと思います。

例えば、緊急事態宣言のもとで外出が制限され、非同居のご家族やパートナーとの接触すら控えている方は少なくないと思います。そのような方が、ウェブ会議やテレビ電話を使うことで、孤独ではない、相手のいる時間を過ごすことができます。高齢の方の中にも、LINEだけは使える、という人はいらっしゃると思いますが、スマートフォン越しに遠方の家族の顔を見ることで、家族のつながりを感じる時間を過ごすこともできると思います。これらは、ただの技術の進歩にとどまらず、情報技術により現実世界における不便や障壁が解消され、より多様で共存的な社会が実現することになるのではないでしょうか。私達は、このwith コロナの時代を通じて、格差や障害のより少ない時代に入っていこうとしている。そのことをしっかりと考えていきたいと思います。

さて、3回にわたってウェブ会議について考えてきました。次回からは、必要な設備や運用のノウハウなど、もう少し具体的な内容に入っていこうと思います。

今の時点では、どのようなウェブ会議システムを利用しても、画像の遅延や音声の乱れなどは多かれ少なかれ生じます。これは、ウェブ会議システムのサービス側の問題だけでなく、ユーザーの端末や回線速度にも依存する話ですので、必要な設備や運用のノウハウ等を理解することで、少しでも豊かで快適なコミュニケーションに取り組んでいただければと思います。
※次世代技術が人間的で豊かな生き方に貢献する、という考え方は、内閣府の計画の中でも明示されています。ご興味のある方は、併せてお読みください。

内閣府 Society5.0 とは… https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

 

(次回テーマ:ウェブ会議に必要な環境や機器はどのようなものか?

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